川から生まれる連携交流

 川が物資輸送の中心だった舟運(しゅううん)時代には、各地の港町が流域の交流と連携の拠点として独自の文化圏を創り上げてきた。交通手段の変遷とともに水辺は生活から遠ざかってしまったが、近年は豊かな人間性の回復を求める親水事業が全国各地で展開され、同時に交流の機会も増えてきている。そのため、安全で楽しく親しみやすい水辺空間の創造が求められており、交流を主としたEボート大会が一関市を主会場として9月上旬に全国規模で行われている。

Eボートってどんなボート?

 Eボートとは、子どもから大人まで、誰でも簡単に漕ぐことができる、まったく新しいタイプの手漕ぎボートで、ボート競技はもちろん、交流ツアー、水に親しむ自然実習などで楽しむことを通じて、地域と地域のつながり、自然と人間の関わりなどを考え、学習しようとするもの。
 Eボートの「E」には、Exchange(交流)、Environment(環境)、Earth(地球)、Epoch-making(重要)、Ecology(生態)、Energy(エネルギー)、Education(教育)、「いいボート」などの意味がある。
 平成7年からはじまった北上川流域交流Eボート大会は、平成10年と14年は集中豪雨のためやむなく中止したものの、その後毎年開催。また、平成11年には全国大会の会場になった。手漕ぎボートレース大会の開催を通じて、日常的な河川空間の多面的利用を啓発し、流域の交流及び連携、地域の活性化に資する親水活動の振興と普及を図ることを目的としている。

実際の大会は?

 「北上川流域交流Eボート大会実行委員会」は、一関市、平泉町のほか、一関市教育委員会、一関市体育協会、さらに、地元の住民が中心になった「北上川流域Eボートスタッフ協議会」によって構成されている。北上大橋付近の北上川(一関市川崎町薄衣及び一関市弥栄)を会場に行われる大会のエントリーチームは100チーム。1チーム10人で構成されるため、選手だけでも1,000人が集う。タイムトライアル方式でレースは2回。上位タイムで順位を決定するが、1位から5位のチームはさらに決勝レースによって最終順位を決定する。優勝チームには「キングオブボート」の称号、以下、準優勝チームには「クイーンオブボート」、第3位のチームには「ナイトオブボート」、第4位には「ベストエナジー」、第5位「ベストファミリー」、特別賞には「ベストパフォーマー」の称号および副賞が与えられる。