けんか七夕をヒントに

 陸前高田市には、900年以上の歴史と伝統を誇るといわれている気仙町の「けんか七夕(たなばた)」という祭りがあり、毎年8月7日に開催されている。「けんか七夕」とは、4トンを越える山車(だし)と山車が激しくぶつかり合うとてもエキサイティングな祭りで、ぶつかり合うときに山車の上で激しく打ち鳴らされているのが「けんか七夕太鼓」。
 「けんか七夕太鼓を活用して地域起こしができないか」という思いからはじまって「全国の太鼓団体を集めて何かイベントができないか」という有志の発想が基になり、「全国太鼓フェスティバル」というイベントが企画された。

全国レベルのこだわり

 「どうせやるなら一流を呼びたい」との願いから、第1回目のフェスティバルの日程は、石川県輪島市の「御陣乗太鼓」の都合に合わせ10月第3日曜日とした。以降、「全国太鼓フェスティバル」は、毎年その日に開催されるようになる。
 日本三大太鼓といわれる「御陣乗太鼓」「御諏訪太鼓」「助六太鼓」がすでに出演し、これまで出演した団体は、国内36都道府県、海外3カ国で172団体にのぼる。今では、日本一の太鼓フェスティバルとお墨付きをいただくまでに大きなイベントとして成長し、出演団体からも「太鼓の甲子園」との評価をいただくまでになった。

実行委員は公募で

 イベントの実施にあたっては、実行委員を一般公募し、民間主導の実行委員会を組織。これは、これまでの地域のイベントの実行委員会といえば、関係団体の役職者を実行委員に委嘱して組織するというケースがほとんどだったので、これでは頼まれ仕事になってしまい心から燃えられない。真にやりたい人たちだけが集まってやる。私ならこの仕事ができる。こうした狙いから新聞記事による実行委員の公募をはじめた。
 実行委員会は、毎年イベントが終わるたびに解散し、翌年再び公募により新たに実行委員会を組織するというスタイルを取っている。実行委員会の人数は、毎年150人前後にのぼり、年齢構成も10代の青年から70代のお年寄りまで幅広く、職業も会社社長、商業経営者、農業、漁業、会社員、公務員、団体職員等々さまざま。
 このような民間主導の実行委員会に対し、行政もこれまでの観念にとらわれず「金は出すが、口は出さない」方針でイベント開催にかかる一切をすべて実行委員会にゆだねたところ、その期待に応えるかのように民間でなければ生まれない新しい発想が次から次へと提案され、実践されている。
 全国太鼓フェスティバルの入場チケットは、地元産「気仙スギ」の間伐材を使って毎年デザインに趣向を凝らして通行手形風にしてつくる。
 手形は縦15cm×横12cm×厚1cmの気仙スギの板をその年のデザインの形に製板し、表に「入場手形」の焼き印を押す。実行委員が集まって一枚、一枚に焼き印を押し、ヒモを通して約3,000枚もの手形をつくる。

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全国太鼓フェスティバル(陸前高田市)