南部長持唄

特徴

 盛岡藩領内の典型的な長持唄で、婚礼の際などに唄われる。本来「長持唄」は旧仙台藩領のものだが、旧盛岡藩領内に伝わるものは曲調は似ているものの、唄う場所、場面によって別々に唄う「決まり」があり、独特のものである。例えば嫁御の里からの出発のとき、嫁の受け渡しのときと、「嫁方」「婿方」で異なる歌詞でやりとりする。

名称 南部長持唄
発祥地 雫石町、西和賀町沢内
歌詞

ハァ今日はナァーハーエ
日も良いしナァー
ハァ天気も良いしナァヨー
結びナァーハエー
合せてナァー
ハァヤレヤレ
縁となるナァーヨー

目出度〜の 若松様だ
枝も栄える 葉も茂る

蝶よ花よと 育てた娘
今日は他人の 手に渡す

さんさ時雨

特徴

 旧仙台藩領に古くから伝わる民謡で、婚礼などの祝宴に必ずといっていいほど唄われる格調高い唄として、九州の「黒田節」に匹敵する名曲。伊達政宗の出陣の唄とも、戦勝の唄ともいわれる。「ショウガイナ」を「勝凱」と当て字したり、さらに「メデタイ、メデタイ」と付け加えたりするのは、その起源となっている「凱旋」からきているものと思われる。

名称 さんさ時雨
発祥地 一関市
歌詞

さんさ時雨か萱野の雨か
音もせで来て濡れかかる
ショウガイナ

さんさふれ〜五尺の袖を
今宵ふらぬで何時のよに

武蔵あぶみに紫手綱
かけて乗りたや春駒に

門に門松 祝に小松
かかる白雲 みな黄金

この家お庭の三蓋小松
鶴が黄金の巣をかけた

この家座敷は芽出度い座敷
鶴と亀とが舞い遊ぶ

芽出度嬉しや思うこと叶うた
末は鶴亀 五葉の松

扇芽出度や末広がりで
重ね〜の お喜び

雉子のめんどり 小松の下で
夫を呼ぶ声 千代々々と

くるくる節

特徴

 「紙漉き唄」として唄われた歴史の古い「祝い唄」で、一関地方をはじめ、宮城県県北でも広く唄われている。曲名の「くるくる」は、紙漉き作業に合わせたとも、水車にちなんだともいわれる。一方、藩政時代に農具や鉄砲などを生産した鋳物師の作業唄から変化したという説もある。

名称 くるくる節
発祥地 一関市
歌詞

くるくるとナーくるくるとナサーヨー
車座敷にいながれてサンサエー

いながれていながれて
下戸も上戸も皆なびく

くるくると  くるくると
空にまわるや丹頂の

丹頂の丹頂の鶴が
この家に飛んでくる

くるくると くるくると
びんにくみ込み宝水

宝水な宝水な
びんにくみ込む宝水

くるくると くるくると
今日もくる明日もくる

明日もくる明日もくる
この家館に福がくる

さんこ女郎

特徴

 盛岡周辺から北上川沿いの大迫街道筋で唄われる祝い唄で、盛岡藩領内の「田植踊」にも取り入れられている。「女郎」は美しい娘または処女という意味で、街道沿いの「橋本屋」という茶屋に「さん子」という色白で美人の娘がいたことからこの唄が生まれたといわれている。

名称 さんこ女郎
発祥地 盛岡市太田
紫波町佐比内
歌詞

さんこ女郎ヤーハエ
今朝も良く見たとな
オーササンコ サーハーサンコ

橋もとで色白くヤーハエ眼
眼細に見たとやな
オーササンコ サーハーサンコ

さんこ女郎いつも山登
お山にはさんこ好きな
男居るお山には

乙部町柳の葉より挟い町
挟いども一夜の宿で銭をとる
銭も銭諸国を廻る宝物

名称 発祥地
御祝い 旧盛岡藩領一帯
神唄 盛岡市
新穀 盛岡市飯岡、花巻市大迫町
山の神唄 下閉伊郡、上閉伊郡
南部酒田 花巻市笹間、北上市岩崎
鍋子長根 下閉伊郡、岩手郡
御祝(玉山荷方節) 盛岡市玉山区
しようがいな節 奥州市江刺区伊出
しようがい節 一関市千厩町