読み仮名 あつみ かいゆうつぼ
指定種別 県指定
種別 考古資料
指定年月日 2014年 11月 7日
指定詳細
数量 1点
所在地 盛岡市本宮字荒屋 盛岡市遺跡の学び館
所有者 個人
保持団体
管理団体
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概要

高さ25.9cm、口径10.6cm。
昭和20年代前半に盛岡市繋に所在する一本松経塚から出土した、愛知県の渥美半島周辺に分布する渥美窯産の灰釉壺であり、経筒外容器として使用されていたものと推測される。
口縁部の一部が欠損するものの、緑黄色の灰釉が滴れ落ちるように外面全面に施釉されており、完形に近い壺でこれだけ美しく発色した事例は希少である。  
こうした特徴は12世紀前半の渥美窯・大アラコ古窯製品の特徴であるが、本品の灰釉や胎土の色調は12世紀後葉の渥美窯・夕古窯製品と共通する。渥美窯の現地では両古窯の中間期の全面施釉壺の様相は不確実であるが、本品が12世紀第三四半期に属する蓋然性は極めて高く、その基準資料になると考えられる。
当該期の平泉は東日本随一の陶磁器類の消費地であり、渥美窯製品も数多く出土しており、本品も平泉経由で招来した可能性が高い。本品は渥美窯製品の優品であり、平泉と出土地周辺との関係性を考える上で、また所謂平泉文化の平泉以外の地への影響を考える上でも重要な資料といえる。
渥美窯製品として優品であるばかりでなく、その編年を考えるうえでも、またいわゆる平泉文化の具体相を把握するうえでも、重要な資料であり、極めて高い学術上の価値を有している。

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