読み仮名 たまやまちいきののらぎ
指定種別 県指定
種別 有形民俗文化財
指定年月日 2006年 9月 26日
指定詳細
数量 一式
所在地 岩手県立博物館
所有者 岩手県
保持団体
管理団体
ホームページ

概要

盛岡市玉山区の城内、釘の平、日戸地域に伝わるスッパと呼ばれる独特の野良着は、国内でも有数の寒冷地域である玉山の冬の生活から生まれたものである。上衣は腰丈までの袷の刺し子着と、袖のないハッピのセットで、この地ではこれをスッパと呼んで、夏冬の区別なく、一年を通じてこの形式の野良着を着用した。
 雫石のミチカ同様、麻布と木綿絣の接ぎ混ぜで、女性用は中段の麻地に玉山の飛び模様といわれるこの地方独特の桜、菊、紅葉などの中型染めを施し、色さしをした。男性用は色さしをせず、藍の濃淡で染めたてた。さらに、刺し子の仕立ての簡便さからか、袖口、裾、ハッピの縁取りを、鮮やかな色の無地や花柄の布を使って、覆輪(玉ぶち、この地方ではヘリコという)の方法で始末した。これは和服の袷の袖口や裾のふきの効果にも似て、既婚未婚で色を選び、藍色の身頃のアクセントになった。前掛けにも玉山模様を染め、紐は帯代わりになるように幅広く、長くした。紐の色は水色、ピンク、赤など年齢によって異なり、両端には二文銭をおもりに縫いつけ、後姿を美しく見せる工夫がなされた。被り物の風呂敷も、頭頂部に出る部分には既婚、未婚により色別の布を付けるなど、他地域には見られない特殊な物である。補助衣として手甲、腕抜き、脚絆などあり、これた一式着装した姿をスッパ風俗とも呼んだ。
 この風俗はこの地独特で、いつ頃から始まったものが不明であるが、明治初年には着用され、日戸では昭和21年、終戦の翌年は村でまだ縫って着用されていたといわれている。