読み仮名 おおみやかぐら
指定種別 県指定
種別 無形民俗文化財
指定年月日 2017年 4月 7日
指定詳細
数量
所在地 盛岡市本宮字大宮51
所有者
保持団体 大宮神楽保存会
管理団体
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概要

大宮神楽は盛岡市本宮に鎮座する大宮神社の奉納神楽である。氏子の地域は現在も本宮・向中野・下鹿妻と広範囲であり、信仰を集めている。
来歴は、延暦年間(延暦二十三(804)年とも伝えられる)から大同三(808)年に、征夷大将軍坂上田村麻呂の奥州下向の際に同行した神職家鈴木母多里麻呂藤原正純(現在の鈴木宮司家の祖先)により神楽が創始・奉納されたことが伝えられている。神楽は「大宮神社鈴木家の神楽」と認識され、その後も代々鈴木家が庭元となり、その血族により引き継がれ守られた。
大宮神社は古来より権力者や地域住民の信仰の対象として崇敬され、近世期には南部藩との深い関わりを持った。このことは鈴木家所有の『神社由緒書 鈴木和泉』や、『南部叢書』などの記録からうかがい知ることができる。
また、大宮神楽は、社家神職が伝える神楽ではあるが、鈴木家と南部藩との関わりや、代々の大宮神社の宮司が京都吉田家の許状を得ていることなどから、南部藩主の意向で神職としての祓いや祈祷を行いながら、布教活動の一環として祭礼や季節の行事などで神楽を舞っていた。そのことから、修験系神楽の舞の特色も有している。そのためその神楽は修験系神楽の要素を取り入れ、神道系の解釈を加え仏教的所作を省くなどして再構成しながら独自の舞を仕上げていったものと考えられる。
神楽は鈴木家の分家である松岡家・鈴木家・泉舘家により担われてきたが、大宮神社に対する地域住民の信仰は篤く、戦後舞手が不足してからは神社周辺の住民が三家に加わり神楽を守ってきており、神楽を通して信仰を基盤とした大宮神社と地域住民の繋がりをみることが出来る。
以上のように、歴史的裏付けをもち、近世期以降の地域における神楽の持つ役割、そして社会背景の中での芸能の変遷や、その担い手の状況を知るうえで重要な文化財である。

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