読み仮名 もりあいしていえん
指定種別 国登録
種別 名勝
指定年月日 2012年 1月 24日
指定詳細
数量
所在地 岩手県宮古市津軽石
所有者 個人
保持団体
管理団体
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概要

盛合氏は、近世から近代にかけて、宮古地方の漁業・廻船業等を通じて成長を遂げた豪商である。特に、宮古湾内の漁業及び宮古湾へと注ぐ津軽石川の鮭漁を足掛かりとしつつ、交易による徴収税を盛岡藩に上納する三陸地方随一の商人資本へと発展し、安永3年(1774)以降に盛合氏を名乗るようになった。
 津軽石川の河口部に近い漁村集落の中心部に位置する盛合氏の居宅の広大な敷地には、門・主屋・離れ、4棟の蔵などの建造物のほか、主屋の南に面して庭園が残されている。主屋の10畳座敷から深い軒を持つ庇を介して南に広がる庭園は、寛政9年(1797)の藩主南部利敬による領内巡視に際し、居宅が宿所として使用されたのを契機に改修され、完成したものである。
 池は石組で護岸され、中央に島を擁する。池西端の石組された池には、小さなスズキ、アユ、ヤマメなどの魚類が放たれていたという。池の背後には小高く築山が築かれ、池べりから頂部にかけて大振りの景石が複数据えられているほか、西南隅には枯滝石組がある。庭園にはイチイ、クロマツ、コウヤマキなどの樹木が見られるほか、池の周囲にはサツキが配植されている。
享和元年(1801)には、測量調査旅行の途上にあった伊能忠敬の滞在が知られるほか、三陸地方を訪ねた文人墨客により多くの書画も残されている。
 18世紀末期から19世紀にかけて、宮古地方に伝わった庭園文化を知る上で意義深い事例である。

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