気仙地区(大船渡市・陸前高田市・住田町)を中心とした大工集団で、民家の建築はもちろん、寺院造営、建具づくり、細工までもこなす多能な集団。藩政時代から「南行き」と称した出稼ぎをしていたと思われるが、明治期の東北本線の開通以来、関東地方や北海道など、出稼ぎ範囲が広がった。
 長安寺山門(大船渡市)や普門寺三重塔(陸前高田市)などの寺院建築、宮城県登米市の登米高等尋常小学校校舎(国の重要文化財)、宮城県栗原市の有壁本陣(国の史跡)をはじめ、関東大震災後の復興、東京・銀座の歌舞伎座の建築や大阪城天守閣の復元などでも活躍した。

気仙大工有壁本陣

気仙大工が建てた小野寺家

 近郊きっての豪農として知られ、一関藩主田村候のお忍びの宿になったとも伝えられています。
気仙大工40人の手によって建てられたもので、灌漑をめぐらせた二重門構えの様子から、「要害屋敷」ともいわれました。屋敷内にはこの地方に数棟残る「気仙壁」と呼ばれる漆喰の蔵があり、唐獅子の飾りが見事です。

【所在地】一関市