読み仮名 | おりつめだけのひめぼたるせいそくち |
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指定種別 | 県指定 |
種別 | 天然記念物 |
指定年月日 | 2018年 4月13日 |
指定詳細 | |
数量 | |
所在地 | 二戸市・軽米町・九戸村 |
所有者 | 岩手県・二戸市・軽米町・九戸村 |
保持団体 | |
管理団体 | |
ホームページ |
概要
ヒメボタルはコウチュウ目ホタル科に属す小型の陸生ホタルである。本州、四国、九州に広く分布する日本固有種である。その生態は、まだよくわかっていない。幼虫は陸生で、主に多湿な森林に生息するが、草原に見られる場合もある。岩手では奥羽山脈および北上高地に分布する。いわてレッドデータブック(2014)ではDランクに挙げられている。
折爪岳(標高852m)は南北に連なる屏風状の山であり、東側に遮るものがない。新井田川流域に入り込む北東気流(ヤマセ)の影響を受け、冷涼湿潤な環境を呈している。山頂にある山居湧水など、湧き水が多い。山頂のブナ・ミズナラ林、ミズナラ林がヒメボタル生息域の中心である。
折爪岳のヒメボタルは7月初めから2週間ほどの間に発光、飛翔し交尾を行う。7月15日頃がピークである。全国のヒメボタルには、発光を早く始めるものと、遅く始めて深夜に及ぶものがいる。折爪岳のヒメボタルは前者である。日中、落ち葉の間や土の上で休んでいたヒメボタルは日没(19時頃)後、間もなく飛び始め、21時頃まで発光を続ける。
ヒメボタルの幼虫は陸生貝などを餌としている。岩手県では52種類の、折爪岳で15種類の陸生貝が確認されている(2012年、粟飯原一郎氏よる調査)。
ヒメボタルは主に山頂付近にまとまって生息していることが確認され、今回の指定範囲は、とくにヒメボタルの個体密度が高く、その生存を支える植生が分布し、遊歩道が整備されている部分である。
二戸市、軽米町、九戸村、および折爪岳振興協議会では、ヒメボタルの生活史と環境との関係を踏まえ、地元団体の協力を受けながら折爪岳の環境を保全する活動を続けている。また、三市町村ではヒメボタルの発生期に合わせて、観賞会や子どもたちを対象にしたヒメボタルフェスティバルを毎年開催し、専門家を招いての講座やフィールドワークを行ったり、ヒメボタルをきっかけとして地元の小学生と関西の小学生との交流も進めている。
環境の変化に弱いヒメボタルの個体群、およびその生息地が大規模かつ良好に保たれており、将来に向けて守るべき貴重な財産と評価できる。