三陸海岸

 宮城県北から青森にかけての海岸を三陸海岸と呼びます。中でも宮城県気仙沼市から岩手県久慈市北侍浜までは陸中海岸国立公園に指定されています。
 複雑に入り組んだ海岸線はリアス式と呼ばれ、変化に富んだ景観は陸から見ても海から見ても楽しめます。高さ200メートルもの絶壁、北山崎に鵜の巣断崖、浄土のような美しさということで名付けられた浄土ヶ浜。三陸沖は世界三大漁場の一つとしても知られ量、種類とも豊富な新鮮でおいしい魚を味わうこともできます。

北限の海女(久慈市)

 陸中海岸の最北、小袖や大尻の海女は本州北限の海女。小袖海岸のそばにある海女センターでは海女の歴史や生活ぶりを知ることができる他、実演作てています。
 観光シーズン中、小袖海岸では素もぐりの実演をしていて、ウニやアワビ、海藻などを手際よく採ってくる様子は見事なもの。夏には「北限の海女フェスティバル」が開催されます。

えぼし岩(野田村)

 うすい紫色の小豆砂が続く十府ケ浦海岸は、野田村を代表する景勝地。
 そのすぐ南には奇岩怪岩が続く玉川海岸があります。なかでもひときわ目を引くのが「えぼし岩」。青い海原に浮かび上がるそのシルエットは、まさに烏帽子を海にかぶせたかのようです。

北山崎(田野畑村)

 北部陸中海岸随一の景勝地といえばこの北山崎で、決して見逃せないビューポイントの代表格です。海面から一気に200メートルもの断崖絶壁がそびえたち、荒々しい奇岩が幾重にも連なりながら8キロメートルにもわたって続きます。
 その壮大さは断崖頂上から眺める光景と海岸に遊歩道を使って降りて、灯台がある弁天崎付近まで足を延ばして見上げる光景とではその迫力にさらに感慨無量になる事でしょう。6月には本州の海岸では3カ所だけに咲くシロバナシャクナゲが彩りを添えてくれはずです。島の越港から北山崎巡りの観光船が出ています。

鵜の巣断崖(田野畑村)

 北山崎と並んで田野畑村で北部陸中海岸のスケールの大きさを感じさせるのが鵜の巣断崖です。陸上が突如200メートルの落差で海まで落ち込み、その断崖が規則正しく5層の列をなしている地形が人の生活の場としての侵入を拒んでいるかに見える。
 鵜の巣断崖の名の由来はその断崖の中腹にウミウが多くの巣を作っていることからついたと言う。いかにもそのことを実感させられる大パノラマです。
作家の吉村昭氏は若き日にこの地を旅して初期の名作『星への旅』への構想を描き、作品にした。島の越にはそれを記念した文学碑が建立されています。

山王岩(宮古市)

 高さ50mの男岩、傍らにある女、岩太鼓の形をした太鼓岩の3つの巨岩が海からそびえ立つ三王岩。田老漁港から海岸へのびる遊歩道を下りて行くにつれ間近に迫るダイナミックな岩の姿はまるで高層ビルのよう。
 男岩にある海食洞をくぐり抜けると幸運が訪れるといわれています。各岩に見える礫岩、砂岩の層が織り成す縞模様は、白亜期に誕生したこれら奇岩の生い立ちを物語っています。海岸一帯ではダイナミックな磯釣りが楽しむことができ、アイナメ、ソイ、ドンコ、スズキ、サバなどが釣れます。

潮吹穴(宮古市)

 国の天然記念物に指定されている「潮吹穴」は日出島の対岸に位置しています。傾斜した白亜紀の岩層にできた海中にまで伸びる幅30cm余りのすき間がつくる珍しい自然の噴水。空洞になった下部に荒波が押し寄せるたび、轟音とともにすさまじい勢いで吹き上げる海水の高さは、30mにもおよびます。

浄土が浜(宮古市)

 天和3年(1683)この地を発見した宮古常安寺の僧侶、霊鏡和尚が「さながら極楽浄土のごとし」と賛辞したことに由来するその名も「浄土ヶ浜」。白い石英粗面岩が海触により鋭く削りとられ透明度の高い青い水面に突き出しています。
波のない静かな入江には剣ノ山、賽ノ河原、地ノ池といった奇勝が並び、赤松の緑、砂浜とが見事なコントラストを演出。周辺にはレストハウスや展望台、自然遊歩道があるほか、観光船による浄土ヶ浜めぐりも人気です。

とどがさき(宮古市)

 東経142度4分34秒、本州最東端に位置する「とどがさき」は重茂半島の東端。
本州では最もはやく太平洋からの日の出を眺めることができます。ハイキングコースとしても親しまれ、周辺は三陸でも有数の磯釣りのスポット。直立する断崖に建つ明治35年建築の白亜の灯台は、台守夫婦をモデルにした映画「喜びも悲しみも幾年月」の舞台としても知られています。歴史的にも価値のある灯台とその建物は、今も現役で海を行く人々の安全を守り続けています。

釜石大観音(釜石市)

 鎌崎の先端の高台に釜石湾に向かって立つ高さ48.5m、白亜の魚藍観音です。
 釜石市内にある曹洞宗石応禅寺が昭和45年に人々の幸せを祈願して建立しました。内部は13階建てで螺旋階段で登ることが出来、2〜10階は三十三観音や万体観音、商売繁盛家内安全を祈る七福神胎内めぐり、手に持つ魚に当たる11,12階は釜石湾に臨む展望台となっています。

碁石海岸(大船渡市)

 碁石海岸を代表する景観である穴通磯は、南部陸中海岸のシンボルです。海水の浸食によって岩の基底部分に大きな穴が3つ開いている奇岩で、まさに自然のが作り上げた彫刻といえます。波の力がくり抜いたトンネルを碁石海岸発着の小型遊覧船に乗ってくぐり抜けてみましょう。

椿島(陸前高田市)

岩手県の沿岸部の最南都市である陸前高田市の広田半島の先端、岩手県の最も南の島でウミネコの大繁殖地として国の天然記念物に指定されています。したがって無断で島に上陸することは禁止されています。
 広田半島の先端には青松島と椿島がありますが、花崗岩の椿島にはかつては椿の一大群落がみられました。しかし、5〜6月のウミネコの8〜10万羽にも達する繁殖期の飛来でとうとう裸島になってしまいました。
 他にゴイサギ、ウトウも繁殖地としていますがそれぞれに巣をかける場所がウミネコは地面、ゴイサギは椿の枝、ウトウは土の中と別れており、一つの島で「鳥類の3段営巣」が見ることができる。