神社に奉納される神事芸能で、岩手県内の神楽は大きく「山伏神楽」「社風(みやぶり)神楽」「科白(せりふ)神楽」「多賀神楽」の4つに大別される。県内でもっとも古く、かつ多いのは山伏神楽で、修験者集団が伝承してきた三拍子(笛・太鼓・手びらがね)の舞曲で、神楽殿または民家の幕の前で踊られる。「神」は「かむくら(神の座)」のことで、この神の座につくのはしし頭に具象される権現(獅子頭)。花巻市大迫町の「岳神楽」「大償神楽」が各地に系統を伝え、県内で伝承されている神楽の多くは、両派から伝えられたものが多い。山伏神楽の中でも特に修験道的性格が強いものに「大乗神楽」があり、北上市煤孫地区に伝承されている。