酒屋流し唄/酒屋もと摺唄/酒屋米とぎ唄/酒屋仕込唄(とろり唄)/酒屋中仕込唄

特徴

 日本三代杜氏の一つである「南部杜氏」が酒造り仕事の中で唄った作業唄。現在では機械化が進み、儀式用の唄として一部唄われているだけになった。唄は作業の種類に合わせて十数種もあって、そのうえ杜氏の出身地やグループなどにより多少「節」や「掛け声」が異なる。

名称 酒屋流し唄
発祥地 稗貫郡(現 花巻市)
紫波郡
歌詞

今朝の寒さに洗い番はどなた
可愛い男の声がする

流し始まる洗物出せよ
早く出さなきゃあがります

可愛い男の来る時知れる
裏の小池の鴨が鳴く

可愛い男の洗番の時に
お顔見たさに廻り道

名称 酒屋もと摺唄
発祥地 稗貫郡(現 花巻市)
紫波郡
歌詞

ハアもと摺りはヤラヨイ
楽そに見せて楽じゃない
何仕事ヤラヨーイ
仕事に楽がありゃしない
何仕事ヤラョーイ
仕事に楽がありゃしない

つばくろは酒屋の軒に巣かけて
夜あくれば酒売り出せと
さよずるよ

乙部町柳の葉よりせまい町
せまくとも一夜の宿で銭をとる
銭も銭諸国を廻る丸い銭

仙台の宮城の原の萩の花
咲き揃い錦にまさる萩の花

名称 酒屋米とぎ唄
発祥地 稗貫郡(現 花巻市)
紫波郡
歌詞

ザクリナーエザクリトーヤ
今にとぐ米で∃ー

お酒ナーエ造りてヤチョイト
江戸に出す∃
芽出度芽出度の若松様よ
枝も栄えて葉が繁る

枝か栄えるお庭が暗い
暗いおろせや一の枝

早くとげとげとぎ上げて
煙草とげや間もなく夜が明ける

名称 酒屋仕込唄(とろり唄)
発祥地 稗貫郡(現 花巻市)
紫波郡
歌詞

ハァとろりとろりとヤーエ
出た声なれど
声をとられた
ヤーエ川風に∃ー

川の鳴瀬に 絹機立てて
波に織らせて 瀬に着せる

よかろかよかろかと
皆様おしゃる
これで納めの
中煙草

唄を止めるには
何んというて止める
酒屋繁昌と 言うて止める

名称 酒屋中仕込唄
発祥地 稗貫郡(現 花巻市)
紫波郡
歌詞

ハ これからサンコ口 始まりで
俺等も一本 ショウガイナ
竹に雀コがノーヤ
ハ あっちの藪から
こっちの藪えと チン〜
バタ〜羽根元揃えて
口元揃えて品よく止まる
(とめて止まらぬ
ノーヤハー色の道)

ヤレ よさそだナーエ
皆様如何ナー
ヤレ 納めてナーエ
とめまするナー
ヤレ とめるにナーエ
何と言うて止めるナー
ヤレ よせとナーエ
言うて止めるナー
ヤレ 御繁昌とナーエ
今の唄たのむナー
ヤレ 御繁昌とナーエ
言うてとめるナー
(ハ ヨーイワ ヤッサノヨイ)

七之助節

特徴

 「七之助節」は現在では「祝い唄」として上棟式や落成式の宴席などで唄われているが、もとは土搗き唄。ある部分を固める際、3本櫓を組み、滑車を利用して搗棒を上下するときに唄われるもので、唄一節で4、5回しか上がらず、土の固い場合は搗棒を高く上げるため、手綱を2度、3度繰るので「二丁揚げ」「三丁揚げ」とそれぞれ唄があった。築城するとき「木遣唄」として唄われたといわれる。

名称 七之助節
発祥地 盛岡市
歌詞 目出度〜の若松様よ
(ハドッコイサット)
枝も栄えるアレサ葉も茂るナ
エノヤァーンアーレー
サノヨーエサ
ヨンヤラサノエーエヤレコノセ
ヤァーレーエコレワサヨー
エノヤーレー

この家旦那様の床の惘の掛図
鶴と亀とが舞い遊ぶ

目出度嬉しや音頭をもろうたネ
酒と肴とお酌まで揃えて

声もつきたし文句もつきた
ここはよいとこ納め置くぞえ

土方すれゃこそ色コが黒い
土方やめればタマゴ肌

名称 七之助節
発祥地 遠野市
歌詞

目出度うれしや 思うこと叶うた
旦那大黒チョーコチョイ
おかみさんは恵比寿ネー
ハーヨンヤラセー

ござる若い衆は
チョーコチョイ 福の神
「セーノヤーハレ
サノヨーエサヨンヤラ
セェーノヤレコノセー
ヤハーセエー ヨイ〜」

あまり長けれゃ
皆様あきるネー
ハーヨンヤラセー
ここらあたりで
シャシャンをたのむぞ

名称 発祥地
亀の子音頭 盛岡市
糸取り唄 宮古市
土搗き唄 雫石町