〜地域による食文化の違い〜
      
  県  北

 厳しい気候と山間部という自然の中で、たび重なる飢饉と闘ってきた「県北」では、食の基本は雑穀です。
 なだらかな山々の間に耕地がひらけ、多くの家でひえをつくり馬を飼い、早春の雪どけ水で水車を回して雑穀の精製に利用、畑には主食を補う大根、じゃがいも、かぼちゃなどがつくられていました。
 長い冬のための多様な保存、貯蔵、加工の工夫、風土を活かした豊富な食材の一つ一つに、積み重ねられた主婦の知恵がこめられています。


【例】手打ちそば(二戸市)
 かつて米のとれ高の少ないこの地方では、米に代わってそばが日常の食べものとして、いろいろ工夫されている。なかでも手うちそばは、冠婚葬祭に欠くことができない。    
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  県  央

 盛岡から北上あたりまでの北上川流域を中心とする県央部は、北は岩手山の裾野から、南は北上付近にかけての一帯です。
 古くから水田地帯がひらけ、その規模も県内では比較的大きく、生産も安定しています。雪が少なく大麦・小麦も栽培され、米・麦を基本にした多種多様な食べ方の工夫が、食生活全体を豊かにしています。
 そこから生まれた米麦、そばなどの粉食「しとねもの」がこの地域の特色です。


【例】きりせんしょ(花巻市)
 県中央部の米地帯の伝統的なおやつ。砂糖味をおさえ、素材の風味をよく出した、つやとしなみのある「きりせんしょ」です。
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  県  南

 藩政時代、県南地域は仙台藩領であり、その歴史の相違が生産基盤や食のしくみにも反映しています。
 北上川下流域に広がる豊かな稲作地帯が表徴するように、米を中心とした食べ物が多いのが特徴。「もち文化圏」とされる県南は、もち料理では日本一といわれ、ずんだもち、ふすべもちなど20種にあまる料理を生み出しました。
 日常の食事も多様で、麦飯、ひえ飯、あわ飯、かて飯、三穀飯など、季節ごとに素材を変え、こうじを使った味噌の味覚を基調とた料理が食膳にのぼります。


【例】祝いもち(一関市)
 一関で生産されるもち米及び特産物(枝豆・磐井牛・菜の花・しい茸)等を主な材料として、伝統餅料理に新しい発想を加えた手軽な「もち弁当」として販売している。
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  奥 羽 山 系
 秋田県境の雪深い奥羽山系に囲まれた豪雪地帯。山あいに耕地が点在し、多雪のため麦のできないこの地域の人々は、あわ飯、かで飯が主食で、味噌汁はきのこ汁に納豆を入れたものをよくつくります。
 春は山菜、秋はきのこ、渓流の魚、山野の獣など、文字どおり山の幸の宝庫であり、巧みな料理と保存が特色。秋田地方から求めるハタハタやサケやニシンは、すし漬という独特な保存法で蓄え、豊富な食材を生かした漬物で長い冬を楽しみます。

【例】納豆汁(西和賀町)
 納豆汁は体のあたたまる雪国自慢の郷土料理です。
納豆のほか、さわもだし、わらび、高菜漬、豆腐は必ず入れるものとして伝承されています。
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  三 陸 沿 岸

 親潮と黒潮とがぶつかる三陸沖の海では、魚貝類が一年中水揚げされ、コンブやワカメなど海草も豊富に採れ、ゆたかな魚貝・海草を織り交ぜた料理が独特の沿岸食文化を生み出しました。
 耕地が少なく、主食はひえ、あわ、麦などのまじった三穀飯が基本で、海草入りのめのこ飯、生きのいい魚貝や内臓を使った五十集屋(漁家)料理が、四季おりおりに食膳をにぎわします。


【例】どんこ・たら汁(陸前高田市)
 三陸沿岸でよく獲れるエゾイソアイナメ(呼称:どんこ)は、脂肪分が多くなる冬が旬で味噌汁や鍋物として好まれている魚です。
 陰暦10月20日の恵比寿講には、尾頭つきのどんこ汁を神前に供え豊漁を祈願しました。気仙地方では現在もこの習慣が続いています。また、白身で淡泊な味は産後の肥立ちに良いとされ、体力回復の料理として食べられてきました。
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