読み仮名 ひらぬかのいぬぶなしぜんりん
指定種別 国指定
種別 天然記念物・植物
指定年月日 2011年 9月 21日
指定詳細
数量
所在地
所有者 国(国有林)
保持団体
管理団体
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概要

イヌブナはブナ科ブナ属の落葉高木で、ブナと異なり株立ちとなる。分布は本州(岩手以南)・四国・九州(宮崎以北)の主に太平洋側で、シイ・カシ林とブナ林との中間域に成立する森林の代表的な樹種の一つである。ブナとも混交するが、ブナより多少標高が低い地域に分布し、シデ類やコナラの落葉広葉樹、モミ・ツガなどの温帯性針葉樹と混交することが多い。イヌブナの北限はかつて岩手県花巻市と宮古市を結ぶ線とされていた。しかし、一戸町史編纂にあたり、地元調査員がイヌブナを確認し町史に掲載した。その後、研究者による調査が行われ、一戸町・葛巻町で新たなイヌブナの分布地を確認し、平成4年に報告された。対象地はこの北限地域の中でも最も規模が大きく、良好な群落を形成している。
 また、イヌブナ自然林の天然記念物の指定については、これまでは、富士山原始林の指定地に含まれていたもののほか、最近では尚仁沢(しょうじんざわ)上流部イヌブナ自然林(栃木県塩谷町)が緩斜面に発達したイヌブナ林として指定されているだけである。このように、イヌブナ林としての指定価値はもちろんのこと、北限の群落ということで非常に価値が高いものと考えられる。

 以上のことから、当該地域はイヌブナの北限域として、典型的な森林が良好に残されたもので、学術的価値も高く、天然記念物として指定し保護を図るものである。