更新日:2025年06月30日
読み仮名 | やきまきかぐら |
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別名 | |
指定種別 | 県指定無形民俗文化財 |
指定年月日 | 令和2年4月7日 |
所在地 | 花巻市大迫町外川目 |
保持団体 | 八木巻神楽保存会 |
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概要
八木巻神楽は花巻市大迫町外川目に鎮座する八雲神社の奉納神楽であり、八木巻集落の10軒の家の男性により担われてきた。
来歴は永禄7(1564)年に、神社に奉納する神楽が始まったことが伝えられ、初代の神楽は早池峰岳神楽の教えを受けたともいわれる。その後、東北を襲った大飢饉により数度 休止したが、由来書「八雲神社八木巻神楽」によれば、 明和8(1771)年、文政2(1819)年、昭和7(1932)年に神楽が復活したことが記録されている。その際、早池峰大償神楽・ 旭の又神楽が関わった伝承もあるが、八木巻神楽は周辺の多くの神楽のように「岳流」「大償流」を名乗ることなく、外川目地区の神楽として存続してきた。
言い伝えられる永禄7(1564)年や文政2(1819)年の関係資料は残されていないが、安政6(1859)年銘の獅子頭の幕が存在することから、江戸時代後期には神楽の祈祷舞が行われていたことがわかる。また、明治30(1897)年以降の「千早」「獅子頭の幕」「幟」などが残されていることから、当時は祈祷の「権現舞」以外に「神舞」などの幕神楽の 演目が行われていたことが明確である。さらに、昭和7(1932)年復興の翌年に、塩竃神社の神楽奉納に出向いた写真が残されており、この頃から集落外での上演活動が行われていたことがわかる 。戦中も「権現舞」は継続し、以降現在に至るまで神楽は継続され ている。
平成21(2009)年には、八木巻神楽後援会を発足。 現在は近隣集落からの参加者も含めて、20歳代から50歳代の19名の神楽衆で年間25回程の奉納や上演の活動をしている。
「安政六年銘獅子頭権現幕」は、 文字の流れから「 白山妙理大権現」と思われる銘が残っているが、意図的に文字消しを試みた痕跡があり、かつて八木巻を含む外川目地域に白山信仰が浸透していたことを伺わせると同時に、その後、明治時代初期の神仏分離令によって、「大権現」の使用 ができなくなった歴史的な経過を示すものである。
「獅子頭」については、大小2つがあり、年記はないものの、代々別当家に伝わるもので、 形状などから古い時代のものと推測される。
「明治三十三年銘神楽衣装(千早)」は、背面に「明治三十三年奉納山神社 九月十二日 八木巻連中」と墨字で記されているが、このような銘のある神楽衣装が保存されていることは、周辺の神楽団体と比較しても貴重なものである。